Gryder Office Media
2018-05-02
この記事は2018-05-02に書いた記事です。
情報が古くなっている可能性があるのでご注意ください。
新たな商品・サービスの開発や、現行の商品・サービスをもっと進化させたりしたい時に、お客様に直接意見を聞いてみるという方法があります。いわゆるヒアリングとかインタビューとか言われていますが、これは一つ注意が必要なので書いていこうと思います。
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A社はお皿を作っている食器メーカーです。
そろそろヒット商品を開発したいとのことで企画を立てていましたが、行き詰まりました。そこで担当者は『お皿を実際買う主婦の意見を聞いてみよう!』と思い、5人の主婦を会社の会議室に集めました。
テーブルの上には試作のお皿が何種類か置かれています。黒いおしゃれな四角いお皿もあれば、模様の入ったお皿、厚みのあるお皿、ガラスのお皿などなど。その試作品を取り囲み、A社の社員と5人の主婦が意見を交換します。
A社担当:「弊社でお皿を売ろうと思って色々試作を作りました。実際どのお皿を売るか迷っています。そこで皆さんの意見を聞かせてほしいと思っています。いかがでしょうか?」
主婦:「あ〜、この模様の入ったお皿かわいい!」
主婦:「私はこのシンプルなのが好き!」
実際ターゲットになる一般の主婦の方の意見を目の前で聞く事もでき、大変有意義な会議のように見えます。
一通り話しを終え、最後に、
A社担当:「では、結論として最後に1枚選んでください。」
と言いました。すると5人の主婦は満場一致で、『おしゃれな黒い四角いお皿』を選んだのです。
そして、会議が終わり帰り際に、
A社担当:「来ていただいたお礼に、この中で好きなお皿を一枚差し上げますので選んで持って帰ってください。」
と担当者が言いました。
するとなんと先ほど選んだ黒い四角いお皿ではなく、全員『白い丸いお皿』を選んで持って帰ったのです。
理由は、「1枚だけ黒いお皿があっても浮いちゃうからねぇ」「食器棚に入れやすいから」などなど。
結局A社は、この会議の結果を検証し、白い丸いお皿を発売することで見事にヒットさせることができました。
というお話です。
マーケティングの世界では顧客視点が大切と言います。上記の例は、お客様の意見が必ずしも顧客視点では無いというわかりやすい例なのですが、ここを取り違えるとまずいですね。
ヒアリングやインタビューが意味が無いわけではありません。例えばヒアリングをして集まったデータをどう見て捉えるか、あるいは、真のニーズを引き出す”質問や聞き方”を研究するのも良いかもしれません。
しかし一番良いのは、意見を求めるよりは、行動を観察した方が、より顧客視点に近づくということですね。
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